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フェラ・クティ自伝

紙書籍版 電子書籍版 同時発売中

 
(原題:FELA: THIS BITCH OF A LIFE)  
カルロス・ムーア=著 菊池淳子=訳
紙書籍版、電子書籍版
 
 

ブロードウェイ・ミュージカル「FELA!」原作本

カルロス・ムーアによって執筆され、1982年にフランスで刊行された。ムーアはフェラ・クティと深い友情と信頼で結ばれ、プライベートでもフェラと深く関わった人物だ。そのためその大部分は、いかにもフェラ自身が語っているかのような語り口で綴られている。
 
おお!こいつだ!
俺はこのマルコムXみたいになりたいんだ!
いや、俺はマルコムXそのものになりてえ!
だから彼が暗殺されて本当に悲しかった。
このときだよ、俺の中でアフリカに対する意識が強烈に目覚めたのは。

 

 
政府や軍隊からの度重なる弾圧を受けながらも、音楽を武器に、決して信念を曲げることなく生き抜いた、フェラ・クティ。
そのあるがままの姿を克明に映す。社会の様々な矛盾、抑圧などに対して疑問を抱き、新しい価値観や生き方を求める現代人にとって刺激的、決定的な1冊。
 
■本書内容 
本書は、音楽を通して反体制運動、黒人解放運動を行なったフェラ・クティの人生を、深い友情で結ばれていたカルロス・ムーアが長時間に及ぶインタヴューをもとに、書き下ろした「自伝」である。幼少期に遡って自らを語るフェラの言葉からは、奴隷制や欧米による植民地政策で傷つけられたアフリカの歴史や、マルコムXなどブラックパワーが台頭する60年代のアメリカの社会状況なども読み取ることができ、人文書としての読み応えもある。フェラの妻15人のほか、親友のインタビューも収録。伝説化されつつあるフェラの、意外な素顔や矛盾が解き明かされる。
 
紙書籍版
発行:KEN www.kenawazu.com
発売:現代企画室
購入・問合せ先:03-3461-5082/gendai@jca.apc.org(現代企画室)
 
電子書籍版
発行:ArsLonga Inc.(アルスロンガ)
http://www.artislong.jp/
販売サイト Kindle (Amazon)、紀伊国屋書店BookWeb、Sony Reader Store 他、各電子書籍インターネットストア
 
■フェラ・クティ再評価の動き
ブロードウェイでは、ジェイ-Zやウィル・スミスの出資によるミュージカル《Fela!》が大ヒット。2010年トニー賞11部門にノミネート、3部門を受賞した。2012年には、Destiny's Childのミシェル・ウィリアムズが参加し、さらに話題を呼んだ。音楽シーンでは、CDボックスセットや人気DJによるリミックス盤などが相次いで発売など、再評価の動きが活発。
 
■著者プロフィール
カルロス・ムーア:政治学者、民族学者、作家。カストロ政権の人種的な政策に反対し、母国キューバから亡命。現在ブラジル在住。自由/平等の政治的信念のもと、数々の著作を執筆している。
http://www.drcarlosmoore.com/
 
■訳者プロフィール
菊池淳子:早稲田大学教育学部国語国文学科卒業、トロント大学大学院演劇科修士課程卒業、早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了。『デイヴィッド・リンチ』『ヒップホップはアメリカを変えたか?』『森の中からジャズが聞こえる』『素顔を見せたニッポン人』などを翻訳。
http://www2.ocn.ne.jp/~jkikuchi/index.html

  • 理由ある反抗、究極の反逆児
  •  フェラ・クティ。日本人には、耳慣れない名前である。私がその名前を知ったのは、ある音楽雑誌の翻訳がきっかけだった。担当したのは、本書の原書である『Fela: This Bitch of a Life』から抜粋された記事だった。すでにフェラは十五年以上も前に他界していたが、一人称で書かれた一言一言には、生前のフェラが発するエネルギーがみなぎり、まるで本人が直接語りかけてくるような臨場感があった。訳し終えた頃、私はこの本をすべて訳したい、そんな激しい衝動に駆られた。
  •  フェラ・クティは、一九三八年ナイジェリアで生まれた。独創的なアフロビートを生みだし、没後も世界中に多大な影響を与え続け、いまだに敬愛されてやまないアーティストである。その一方で、腐敗した政府や軍からの弾圧に抵抗し、度重なる投獄や暴力にも屈することなく、黒人差別撤廃とパン・アフリカニズムを訴え続けた究極の反逆児であり、ブラック・プレジデントの異名を持つアフリカの英雄でもある。
  •  だが、私に圧倒的な直撃を与えたのは、そのヒロイックな人生でも、終始一貫した信念でもなかった。いやむしろ、ヒーロー像にはほど遠い、破天荒で矛盾だらけの発想と人生であり、人間味あふれる発言と溢れんばかりの生のエネルギーだった。うらやましくなるほど正直で、ねたましくなるほど開放的な性、苦しみ続けながらも、楽しみ抜き、信念を貫いた生き様そのものだった。
  •  子供の頃から引かれたレールに乗り“死ぬまで安泰”が金科玉条であった日本社会。そんな安定志向一辺倒の社会にも、変化が現れつつある。終身雇用が保証され、経済発展ありきだった価値観は崩壊の兆しを見せ、三一一の震災以降幸せの基準も大きな転換点を迎えたように思える。インターネットを始めとする情報化によって、諸外国の多様な考え方やあり方に触れる機会が増えれば増えるほど、先進国の、いやこのちっぽけな島国が是とする価値観、倫理観、宗教観は、一つの選択肢にすぎないのだと感じざるを得ない。
  •  今私たちに必要なのは、まさにフェラ・クティのように、国が、他人が何と言おうと、自由に発想し、奔放に生きるエネルギーなのだ。人種や国境にとらわれず、最大限に柔軟な頭で理想と信念を見いだし、それを実現すべくまっすぐに突き進む勇気だ。達成には数知れない失敗も、挫折も、矛盾もあるだろうが。
  •  腐敗や差別と闘い続けながら生を謳歌し、人類発祥の地アフリカのパワーを体現した男が残したメッセージには、画一化した価値観と工業化で現代人が見失った何かを取り戻し、人間の原点に戻って二一世紀を生きていくヒントが必ずやあるにちがいない。

アップル iBooksにて、「フェラ・クティ自伝」にて紹介

「毎週、スタッフがおすすめの1冊を紹介する「今週のブック」。今週は、ジャズやファンクなどに影響を受け発展したワールドミュージック、アフロビートの創始者として知られるフェラ・クティに迫った「フェラ・クティ自伝」。本作は、彼と親しい間柄だった民族学者、カルロス・ムーアによる著書。アフロ・ビートが誕生した瞬間、20代の英国留学、その後の渡米で身を持って感じた人種差別との闘いなど、彼の歴史を本人や家族、関係者などの証言をもとに構成している。偉大なミュージシャンとしての側面のみならず、マルコムXといった活動家に触発され、音楽を武器に”アフリカ解放”という巨大なスローガンを掲げた経緯や、当時の政治体制への抵抗なども生々しく綴られている。死後、音楽的功績はもとより急進的な活動によって神格化された面もあるが、象徴的なカリスマというだけでなく知られざるリアルな姿が描かれているのも本作の魅力。人間としてのフェラ・クティを余すことなく感じ取ることができる。」

NHK BS2放送 番組「エル・ムンド」内で、「フェラ・クティ自伝」紹介!

『躍動するカルチャー いまアフリカが面白い』(関東地区・インターFM、76.1mhz、火曜日午後8時~10時)放送

番組ホームページから  http://www.nhk.or.jp/elmundo/menu/130505.html
 
人口が10億を超え、国際的な場面でも存在感を強めているアフリカ。
いま最もホットなアフリカン・カルチャーの魅力に迫ります。番組では、ニューヨークのナイトクラブで盛り上がるアフロビートを中心に、地元で活躍するミュージシャンやダンサーに注目!そのほか、黒人文化の発信源ハーレムのいまをリポート。 最新のアフロ・カルチャーについて!」
 
NHK BS2放送 番組「エル・ムンド」より

各国語版、続々発売中!

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Carlos Moore "Remembering Fela"