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私だけの日本酒 南部杜氏・多田信男の仕事

及川 智洋 著

     

(電子書籍版、紙版(A4判、195ページ))
 
 美酒はどんな人の手で、いかにして造り出されているのか――世界屈指の人気銘柄『磯自慢』杜氏を務める多田信男さんの、六〇年に及ぶ酒造り人生を振り返る貴重なオーラル・ヒストリー(口述歴史)を中心に、名だたる専門家たちが日本酒の近現代史を解説し未来を展望する証言集。岩手県の南部杜氏たちによって引き継がれてきた酒造りの基本から高度な応用、近年の技術革新と消費者の嗜好の変化までを分かりやすく解き明かし、清酒醸造の伝統文化と科学の力による進展の関係を考察した、清酒醸造のプロやその志望者から、日本酒文化に知的関心を持つファンまで、必読の一冊である。

目 次
はじめに――日本酒・温故知新の旅
第一章 杜氏になるまで(一九六〇年代)
 一 多田信男さんインタビュー その一 二十代の修業
 二 南部杜氏の成立と発展(さけ近代史)
第二章 杜氏として立つ(一九七〇年代)
 一 多田信男さんインタビュー その二 新人杜氏の経験
 二 三増酒から地酒ブームまで(さけ現代史1)
第三章 河村傳兵衛氏と吟醸王国「静岡」(一九八〇年代)
 一 多田信男さんインタビュー その三 静岡で杜氏としての基盤
 二 証言・鈴木真弓さん 静岡の独自性とは
 三 地酒ブームから吟醸ブームへ(さけ現代史2)
第四章 日本酒高級化の波(一九九〇年代)
 一 多田信男さんインタビュー その四 宮城で奇跡の吟醸
 二 証言・小関敏彦さん 技術革新と蔵元杜氏への移行

及川 智洋
一九六六年、岩手県北上市生まれ。一九九〇年、東北大学法学部卒業、朝日新聞社勤務。二〇一六年退社、二〇一九年法政大学大学院博士後期課程政治学研究科修了。法政大学非常勤講師(政治学)。著書『戦後日本の「革新」勢力』、論文『山中貞則と沖縄振興』『日本型財政ポピュリズムに関する一考察』など。