中川 弘
1951年福岡県生まれ。1978年茨城大学大学院 修士課程 修了。
職歴はNKグリーンサービス株式会社、財団法人東京顕微鏡院、財団法人沖縄県環境科学センターを経て、2017年、株式会社BMLフード・サイエンス常務取締役を役員定年。主に食微生物検査、品質保証部門を担当。現在、公益社団法人日本べんとう振興協会技術顧問。
外部委員として日本食品微生物学会、理事、評議員、指定検査機関協議会 微
生物作業部会委員長、腸管出血性大腸菌O157検出法研究班員、腸炎ビブリオ検出法研究班委員、食品から赤痢菌の検出法検討班員の他「液卵製造の高度衛生管理に関する研究」、「細菌性食中毒の予防に関する研究」、「食品からの腸管出血性大腸菌研究法研究班」の研究協力者、沖縄県食の安全・安心懇話会(学識経験者)、現在、公益社団法人日本べんとう振興協会 技術顧問、 食品微生物検査技士制度 試験委員長ほか。
共著は食品中の「微生物検査法解説書(共著)(講談社サイエンティク)」、「食品微生物の簡易迅速測定法はここまで変わった(共著)( サイエンスフォーラム)」、「微生物の簡易迅速検査法 (共著)(株式会社テクノシステム)」他で微生物検査全般、迅速検査法関連を執筆
文教大学、服部栄養専門学校、琉球調理師専門学校で非常勤講師として食品衛生学、食品の安全性を担当。
2002年、日本獣医畜産大学で獣医学博士を取得。
出版に寄せて(推薦のことば)
「検査(測定)無くして、制御無し」のことば通り、「検査」は多岐の分野において重要な役割を担っています。特に、食の安全性確保のためのリスクの実態把握や管理の実効性の客観的評価等において、必要不可欠な機能を果たしていることは言うまでもありません。
本書の著者である中川弘氏は、長年にわたり当該食品検査分野においてまさに実践的なご活躍をされるとともに、学会活動や大学等での教育・研修、さらには研究活動等を通じて多大なご貢献をされて来られました。
また、そのご人徳により、これまで食品微生物分野において我が国を代表する権威の諸先生方のご指導・ご支援を得える機会にも恵まれ、ご苦労の多い任務を的確に遂行されて来られました。
今回、これら多分野で培った知見や実績を踏まえ、古稀という人生の節目の機会に本著をまとめられたことに敬意を表する次第です。
本書は、食品衛生や食品微生物の基礎知識をはじめ、簡易・迅速法を含めた検査方法等につき大変分かりやすく解説されるとともに、海外の検査法や廃棄物処理にも触れられ、現場で取り組む食品検査の実務者はもとより、学生等これから食品微生物検査分野での活躍を志す人々にもきわめて有意義な内容となっています。
食品衛生分野の取組みは、国際的にも1990年代以降HACCP等の自主管理手法の導入が進んできました。我が国においてもHACCPに関しては、1995年の食品衛生法の改正により総合衛生管理製造過程制度として任意に導入され、その後2017年の食品衛生法の改正に伴い、全ての食品等事業者を対象に制度化がなされてきたところです。
またHACCPの制度化に関しては、我が国の食品の安全性確保を前提とした輸出振興という「成長戦略」の一環としても位置づけされています。
我が国の食中毒患者の9割以上は微生物・ウィルスに起因する(厚生労働省「食中毒統計」)一方で、食品関連事業者の大半は中小企業で占められています。
本書は、こうした企業等における単なる実務書としてだけはなく、基本的な衛生知識のレベルアップを図る観点からも、新たな食品安全確保政策の適正かつ円滑な推進にも大いに資する点で、まさに時宜をものと確信しています。
最後に、本書が食品を取り扱う現場において積極的に活用されるとともに、著者の今後一層のご活躍を心から祈念し、推薦のことばとさせていただきます。
池戸 重信
一般財団法人東京顕微鏡院技術顧問
公立大学法人宮城大学名誉教授
元独立行政法人農林水産消費技術センター理事長