権力の病室―大平総理最期の14日間
著者 国正 武重
凄い政治家がいた! 凄い記者がいた!
心臓の異変で緊急入院した大平総理の病室には、様々な思惑を抱えた人物が出入りした。政治と権力の実相に迫る異色のドキュメント
1980年5月、衆参同時選挙の遊説初日に体調を崩した大平総理は緊急入院、そのまま還らぬ人となった。「自民党40日抗争」で消耗し、消費税3%で国民の袋叩きにあい、それでも総理在任中、休日は1日だけという激務の中での“戦死”だった。その病室には、さまざまな思惑を秘めた政治家たちが出入りした。著者はこのとき、朝日新聞官邸キャップ。当時の極秘取材メモを駆使して「最高権力者の病室」を生々しく描き出す。凄い政治家がいた。そして、本当に凄い記者がいた。
文藝春秋 (2007/4/1) 復刊
- 目次
5月30日―最後の街頭演説
5月31日―単なる過労
6月1日―ふとんが重い
6月2日―狭心症
6月3日―愁眉を開いた…
6月4日―「ゼリーが食べたい」
自民党40日抗争
総理大臣は「使い捨て」か
6月5日―「早くゴルフをやりたい」
6月6日―「心筋梗塞」報道の波紋
6月7日―「政」と「医」の相克
6月8日―二分間の会見
伊東正義と田中六助
6月9日―サミット出席は不可能
6月10日―はじめての洗髪
6月11日―「荒唐無稽の噴飯物」
6月12日―午前五時五四分
国正武重(くにまさ・たけしげ)
政治評論家,ジャーナリスト.1933年愛媛県生まれ。58年早稲田大学第一法学部卒業。59年朝日新聞に入社し、67年東京本社政治部に配属される。以来、佐藤栄作内閣を皮切りに歴代政権を担当した。78年政治部次長、大平内閣の首相官邸クラブ責任者となる。81年編集委員(政治担当)、93年役員待遇。1995年退社し,以後フリーとして活躍.著書に『漂流する政治』『戦後政治の素顔――記者の証言』『湾岸戦争という転回点』,『戦争体験は無力なのか ある政治記者の遺言』『自民単独支配の終焉』など多数.「湾岸戦争という転回点」で99年度日本記者クラブ賞を受賞